粉雪-3年後のクリスマス-
そんな悲哀のどん底を垣間見た瞬間、ふとよぎる。
『ユキくん、……大好き』
───あの彼女は、待っている?
俺の名を呼んだ彼女を思い出したが、すぐ否定した。
「…って、俺じゃないじゃん」
そうだ、何を勘違いしている。
名前すら知らない受話器ごしの彼女は、俺ではない誰かを待つのだ。
並んでいたホームにちょうど、俺の家に向かう電車が強風を巻き起こしてやってきた。
ゆっくりと目の前に停車し、今にも泣きそうな自分が一瞬写る。
「所詮、俺はいつまでたっても詰めが甘いんだよな……」
己のふがいなさを知るだけだった。
.
『ユキくん、……大好き』
───あの彼女は、待っている?
俺の名を呼んだ彼女を思い出したが、すぐ否定した。
「…って、俺じゃないじゃん」
そうだ、何を勘違いしている。
名前すら知らない受話器ごしの彼女は、俺ではない誰かを待つのだ。
並んでいたホームにちょうど、俺の家に向かう電車が強風を巻き起こしてやってきた。
ゆっくりと目の前に停車し、今にも泣きそうな自分が一瞬写る。
「所詮、俺はいつまでたっても詰めが甘いんだよな……」
己のふがいなさを知るだけだった。
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