粉雪-3年後のクリスマス-
「……まったく」
まあ、そんななにも気にしていないような素振りに、どこか救われたのも事実なわけで。
カタン、とコートをしまい、デスクへと向き直る。
義理がたく、参加を前向きに考えようか。
なんて悩みはじめると、
「ユキくん、ちょうどよかったわ」
声をかけてきたのは、しわもないスーツを身にまとい、きりっと髪を纏め上げた女性。
「あ、おはようございます、先輩」
新人時代の教育係をしてくれた、キャリアウーマン街道を独走中の頼れる先輩だ。
そりゃあもうってくらい仕事がデキるし、面倒見もいいし、厳しい。
俺の持っていないものをすべて詰め込んだような人だ。
年は十歳ほど離れているが、そんなことをわからせないほど活き活きとしている。
俺が言うのもなんだが、先輩の瞳はいつだって若い。
そんな先輩が、眉をひそめて声を小さくした。
「さっき課長が探していたけど……平気?」
「え」
先輩も知っている、課長の性格。
それが何を意味するのか、さすがに俺でもわかる。
「ふふ、がんばってネ」
「……はい」
ひらりと身を翻し、先輩は大きなかばんを抱えて部屋を出て行った。
先輩に続くように、俺も仕事をしなくては……。
これから起こるであろう出来事に、ため息をそっとしまった。
まあ、そんななにも気にしていないような素振りに、どこか救われたのも事実なわけで。
カタン、とコートをしまい、デスクへと向き直る。
義理がたく、参加を前向きに考えようか。
なんて悩みはじめると、
「ユキくん、ちょうどよかったわ」
声をかけてきたのは、しわもないスーツを身にまとい、きりっと髪を纏め上げた女性。
「あ、おはようございます、先輩」
新人時代の教育係をしてくれた、キャリアウーマン街道を独走中の頼れる先輩だ。
そりゃあもうってくらい仕事がデキるし、面倒見もいいし、厳しい。
俺の持っていないものをすべて詰め込んだような人だ。
年は十歳ほど離れているが、そんなことをわからせないほど活き活きとしている。
俺が言うのもなんだが、先輩の瞳はいつだって若い。
そんな先輩が、眉をひそめて声を小さくした。
「さっき課長が探していたけど……平気?」
「え」
先輩も知っている、課長の性格。
それが何を意味するのか、さすがに俺でもわかる。
「ふふ、がんばってネ」
「……はい」
ひらりと身を翻し、先輩は大きなかばんを抱えて部屋を出て行った。
先輩に続くように、俺も仕事をしなくては……。
これから起こるであろう出来事に、ため息をそっとしまった。