粉雪-3年後のクリスマス-
 付き合い始めたときも、カノジョからだった。


「……あのさ、ユキ」

 紹介されたときから、ずっと気になっていた。

カノジョから大抵会うことを誘ってくれて、さすがにこのキモチは俺から伝えるべきだと思っていて。


 言わなくちゃ、言わなくちゃ。

そのときの俺は、そればかり考えていた。


 言いたいのにいえない。

けれど、その一言を口に出す勇気がなくて───


「ユキ、あたしと一緒にいたい?」


 そんな質問で、考えていた二文字はすっ飛んでしまった。

一体何を言い出すのだろう、と、どこか他人事のようにも感じていたのも確か。


 今でも覚えている。

きゅっと指に指を絡めて握ってきたカノジョの手は、ほんの少し震えていた。


「あたしは……ユキが、すきなんだけど」


 言おうとしていた言葉を。

勇気が足りないせいにしていた自分に。


カノジョは不安そうに見上げてきた。



 だから──


「……うん」

 そういって、手をぎゅっと握り返すしかできなかった。

けれど、カノジョはそれに気づいて、嬉しそうに笑ったんだ。


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