粉雪-3年後のクリスマス-

 わかってる。

けど、覚悟もなんもない俺に、いますぐそんな風に考えられない。


もう少し───待ってくれ。



 そんな祈りだった。



 結局、将来のことを切り出せずにフラれてしまったわけだ。


 いつの間にか駅まで辿り着いていて、車道から容赦なく発せられるライトに目をそむける。

たくさんの人たちが通り過ぎるのに、誰も知らない。



「今年のクリスマスは一人か……」

 カノジョに見放された俺は、孤独でいっぱいだった。


 落としきった肩は、ポケットの中からの振動でも震えた。

その瞬間、飛び跳ねるように携帯を耳に当てる。


 もしかしたら、

「ゴメンね、嘘だよ」

と言ってくれるのを、待っていたのかもしれない。



『もしもし……?』

 けれど、待っていた人のものではなく、むしろ聞いたことのないもの。

少し掠れたような、カノジョよりもあどけない女の子の声。



「……は、い?」


 あーあ、我ながら未練たらしいオトコだ。

しかしそんな様子に気づかない、電子音の彼女。


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