粉雪-3年後のクリスマス-
『ずっと連絡できなくて、ごめんね』

 淋しそうに、けれどどこか浮き足立ったような声音。

なんとなく、自分を重ねていた。


『今年の冬は帰れそうなの』


 ────は?

カノジョ以外の誰かと約束をしたっけ?


失恋の傷だらけな頭を必死に動かすも、そんな記憶は一欠片も見当たらなく。



『クリスマスは、一緒にすごそうね』

 
 そんな言葉に、俺ははっと携帯電話を見直す。


通話の相手は、登録もされていない電話番号。



「あ、あの……っ」


 ───間違い電話ですよ。


その一言を吐き出そうとした瞬間だった。




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