粉雪-3年後のクリスマス-
 間違い電話なんて、本当はどうでもよかった。

親切心は、下心の建前。



 ───不謹慎だと。

節操がないと、言われるかもしれない。




『ユキくん……大好き』




けれど、それは確実に俺の心へ染み渡ったのだ。



 例えそれが、俺へのものでなくとも。



「俺も、“ユキ”なんだ……」


 笑われるだろうか。

間違い電話の君に、ずっと会いたかっただんて。



 ───本当は。

この降る雪のように真っ白い君のことを、俺が待っていた。



 君にあえて、幻滅するわけがない。



 想像していたより、ずっと純真。

 思いがけないほど、美しい君を。


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