100%アイシテル。
「馨…」

「あ~あ。休憩時間、あとちょっとだね。早く回っちゃおっ?」

「…ああ」

瑛の手をしっかりと握って、私達は色んな教室を見て回った。
私はテンションを上げていたのに、瑛は何もしゃべらない。

「瑛?」

「ああ…」

「…」

無言が続く。
こんなことなかったのに。沈黙なんてしたことないくらいしゃべり続けていたのに。

「そろそろだね…帰ろっか」

「…馨」

「ん?」

「明日、絶対優勝するぞ」

「う…ん」

瑛は顔を近づけてきて、私にキスをした。


琉の顔、もう思い出せない。

瑛とキスをしている間、私は琉の顔を忘れていた。

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