【完】晴 時々 雨



「どういう…」



潤が口を開きかけた時だった



「なに怒ってるの?」



サツキちゃんが

初めて口を開いた



わたしも潤も

サツキちゃんを見る



さっきと変らず

無表情で



その暗い色をした目には

わたし達なんて

映っていないような気がした



「谷は何も悪いことしてないじゃん」



そして

耳を疑う言葉を

聞いた






「あたしと谷の仲は特別なんだから

あたしを優先させるに決まってんじゃん。

谷に彼女ができようが

あたしに彼氏ができようが

あたし達の関係は変わらないんだから」






「ど…いう…意味…?」



カラカラに乾いた声が

かろうじてわたしの喉を通った




サツキちゃんがわたしを見る



ぞっとするほど

冷たい目



「意味?

そのまんまの意味だよ。

…ねぇ、谷。

なんて言えばいいの?」



サツキちゃんは

傍らの谷君の腕をつかみ



一変して

すがるように

谷君を見つめた


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