【完】晴 時々 雨
あたしの目は
無意識にアイツを探す
あたしの耳が
無意識にアイツの声を求める
「麻由ちゃん!」
幻聴かと思った
あたしもいよいよ末期かな…なんて
自嘲した
だって
アイツがあたしのこと
“麻由ちゃん”なんて呼んだことはない
でも
それはあろうことか現実で
「麻由ちゃん!ちょっと」
教室のドアに手をかけて
アイツがあたしを確かに呼んでいた
“麻由ちゃん”
心臓がものすごい勢いで騒ぎ出す
あのギャル達にそう呼ばれた時は
鳥肌が立ったというのに
えらい違いだ