「さようなら。」は桜いろ
第一章 4月6日
いつまでもいつまでも、その時を忘れない。
何もかもが初めての様な気がしていた3年間。
季節は春。
長い冬が終わり、暖かい陽気が心地良い朝、私はクローゼットから真新しいブレザーを取り出した。
これから3年間着続ける制服に袖を通し、真新しい鞄を手に取った。
「行ってきまーす」
努めて明るく、玄関からリビングへ声を掛けたものの、明らかに私の心中は憂鬱だった。
家を出て、これまで 左に曲がっていた道を右へ曲がり、駅へと向かう。
途中、まだ開いていないカフェや服屋が建ち並ぶ商店街を通った。
まだ朝だったので当然なのだが、その時は何だかさびし気に見えた。
家を出て10分ほどで駅に着き、電車を待つ。
その間、他にも電車を待つサラリーマンや他校の生徒が目に映った。
皆の表情は無機質な表情で、暗く見えた。
その顔が当時はイヤで仕方がなかった。
やがて電車が到着し、吸い込まれる様に大勢が電車に乗り込む。
信じられない数の人が乗り込んだため、身動きのとれない状態で電車は走り出した。
ここから3駅。
息の詰まる思いで目的の駅に着き、電車の扉が開く。
電車の中程まで乗り込んでいた為、思う様に降りられない。
「お、降ります」
何もかもが初めての様な気がしていた3年間。
季節は春。
長い冬が終わり、暖かい陽気が心地良い朝、私はクローゼットから真新しいブレザーを取り出した。
これから3年間着続ける制服に袖を通し、真新しい鞄を手に取った。
「行ってきまーす」
努めて明るく、玄関からリビングへ声を掛けたものの、明らかに私の心中は憂鬱だった。
家を出て、これまで 左に曲がっていた道を右へ曲がり、駅へと向かう。
途中、まだ開いていないカフェや服屋が建ち並ぶ商店街を通った。
まだ朝だったので当然なのだが、その時は何だかさびし気に見えた。
家を出て10分ほどで駅に着き、電車を待つ。
その間、他にも電車を待つサラリーマンや他校の生徒が目に映った。
皆の表情は無機質な表情で、暗く見えた。
その顔が当時はイヤで仕方がなかった。
やがて電車が到着し、吸い込まれる様に大勢が電車に乗り込む。
信じられない数の人が乗り込んだため、身動きのとれない状態で電車は走り出した。
ここから3駅。
息の詰まる思いで目的の駅に着き、電車の扉が開く。
電車の中程まで乗り込んでいた為、思う様に降りられない。
「お、降ります」