「さようなら。」は桜いろ
「二人とも、雑巾洗い終わったかい?」
と声がしたので振り返ると、そこには先程の男子生徒が立っていた。

「ご苦労さん。朝は拭き掃除だけらしいから、それを戻せば終わりだよ。」
と言うと何も言わずバケツを手に取った。

「いいよ、私がやる。」
と早紀が言うと男子生徒は

「いや、俺がやるよ。それより遅刻の事なら、そんなに気にしなくて良いよ。」
と早紀に笑いかけた。

「うん、ありがとう。でもみんな、怒ってた。」
と早紀が言うと

「みんな初めましてなんだから、人見知りしてただけだよ。」
と男子生徒は答えた。

「そっか、なら良かった。」
と早紀が言うと男子生徒は突然

「俺、翼。橋本翼。そっちは?」
と早紀と絵美に聞いた。

「私は早紀。こっちは絵美。」
と早紀は答えた。
絵美の方を見ると、絵美は何故か終始にやけていた。
翼は

「そっか、よろしく。朝当番の人は放課後も掃除当番だから、忘れんなよ。」
とだけ言い残すと、教室へ戻って行った。
二人が顔を見合せると、絵美はまだにやけている。
早紀が

「絵美?なんで笑ってるの?」
と聞くと

「いや、今の翼くん?ちょっとカッコ良かったからさ。」
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