「さようなら。」は桜いろ
と言った。
確かに早紀が抱く同年代のイメージとは違う、どこか垢抜けた、爽やかさが翼からは感じられた。

早紀は

「うん、まぁそうだけど…、絵美それだけで笑ってたの?」
と聞くと絵美は

「違うよ。なんか早紀、翼くんとイイ感じだったじゃん。」
と早紀の肩をつつきながら答えた。
絵美の意外な返答に早紀は戸惑いつつも

「え?なにが?」
と咄嗟に答えた。
すると絵美が

「だって早紀さ、男の子苦手じゃん。」
と態度を改め、言った。

早紀は

「確かにそうだけど、絵美考えが飛躍し過ぎだよ。」
と言った。

そうこうしている内に他の生徒が続々と登校してきた。
時計を見ると8時30分をさしていた。

「もうこんなに時間が経ったんだね。」
と早紀が言うと絵美は

「楽しい時間は過ぎるのが早いよねー。」
とまたも早紀を茶化す。
若干呆れた表情で早紀は絵美を無視し、一人ですたすたと教室へ入った。

「あ、怒った?早紀ごめん、ごめんって。」
と言いながら絵美は早紀のあとを着いていく。

やがて8時40分を時計が示すとチャイムが鳴り、谷川が教室へ入ってきた。

谷川は教壇へ立ち
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