「さようなら。」は桜いろ
「はい、皆さんおはようございます。朝のホームルーム、始めますよ。」
と事務的に言うと出席を取り始めた。
元気良く返事をする者も居れば、そうでない者。
出席を取り終えると、谷川は

「今日から早速授業が始まります。皆さんには、あらかじめ選んでもらった選択授業もありますので各自、教室を間違えないように。」
と説明した。
早紀は音楽よりも美術の方が好みだった為、美術を選択していた。
ふと、絵美はどちらにしていたか気になり、後ろの席の絵美の方へ振り向くと、絵美は隣の席のクラスメイトと談笑していた。
早紀とは馴染みの無い生徒だったので大人しく前を向いていると絵美が早紀の背中をつつく。

「早紀、どっちにした?」
と聞いた。
「美術だよ。絵美は?」
と早紀が絵美に聞くと
「えー、ウチ音楽だよー。」
と残念そうにしている。

(受けたい授業なんだから、必ずしも同じとは限らないのに。)
と早紀は思ったが、

「えー、なんだー。」
と早紀も調子を合わせる。

その日、選択授業は3時間目だった為、早紀は教室へと急ぐ。
隣のクラスのA組との共同授業の為、他にも知らない生徒も教室へ急ぐ。

(やだなぁ、知らない人ばっかり。)
< 17 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop