「さようなら。」は桜いろ
と焦りを含めた声を出した。
やっとの思いで電車を降りる途中、友人から貰った、鞄に着けていたキーホルダーを落としてしまった。
手を出し、拾おうとしたが扉は閉まり、電車は次の駅を目指し走り出してしまった。

学校へは10分程度で着き、校門の前に立ち、

(ここが今日から通う学校なんだ。)

と自分に言い聞かせる様に校舎を見回していると、

「さき、早紀ー」
と声のする方を見ると、小学校時代からの友人の絵美が全速力で自分の方へ走ってきていた。

「ヒドイよー。早紀の家に行ったらもう出たって言うんだもん。」
と頬を膨らませながら言う。

「ごめんね。約束してたっけ。」
と早紀が素っ気なく返すと、

「あ、ヒドイ!約束は確かにしてないけど、わかるじゃん。うちの中学からはアタシと早紀しか出てないんだから。」
とますます怒らせてしまった絵美を余所に早紀は、

「もう1つごめん絵美!貰ったキーホルダー、落としちゃった。」
と手を合わせながら絵美に謝った。
すると絵美は、

「えぇ、早速?」
と目を丸くした。

「もう早紀最悪だよー。」
と言っている絵美の顔は笑っていた。

そこに教師が二人のもとへ来て、
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