「さようなら。」は桜いろ
と絵美が聞くと真奈美も携帯電話を取り出し

「もちろんっスよ。」
と陽気に言ってみせた。
絵美とは色ちがいのマスコット。

早紀は朝から何か嫌な物を見た感じがして、苛立ちを覚えた。
翼の方を見ると、まだ早紀の席の前に居た為

「もう、ホームルーム始まるよ。戻んなよ。」
と翼に八つ当たりした。
翼は特に何を言うでも無く、黙って席に戻った。

その日一日中、真奈美は絵美にべったりくっついて離れなかった。
まるで10年来の友でもあるかの様に。

そうなると、早紀はやはり孤独だった。
翼も同様。
いつまでも友達を作ろうとはしていない様子だった。
その日も帰りに絵美は『真奈美達』とどこかへ遊びに行ってしまった。

早紀はまた一人で帰っていると後ろから
「なぁ、一緒に帰ろうぜ。」
と翼が居た。
若干、息を切らしているところを見ると、おそらく校舎から早紀の下まで走って来たのだろう。

毎回後ろから声を掛ける翼に早紀は

「ビックリするから、後ろからいきなり声かけないでよ。」
と冷たく言い放った。
「そんな事言ったって…」
と翼は些か困惑したが、わかったよごめん、と謝った。

しばらく黙って歩いていると翼が歩みを止め、早紀に
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