「さようなら。」は桜いろ
絵美に対する罪悪感。
きっと、駅に集合する様にしよう、と言う提案も、彼女なりに譲歩してくれた結果なのだろう。
と早紀は考えた。
しかしながら、やはり他人との時間、同じ空間に耐え難い早紀は、新しい環境を切り開く気力が無かった為、(私は一人で学校へ行こう。)と結論付けた。

いや、逃げたのだ。
想えば、あの時もそうだった。
父親との一件があった時、目の前の事態に耐えられなかった。
だから、私は逃げたのだ、と。

今、絵美に対して感じる罪悪感の様に、早紀は、母親にも罪悪感を隠しきれなかった。

逃げてばかり。
それは早紀自身、よく解っているつもりだった。
しかし、何とかでも事態を打開する気力、元気を出す事が出来ない。
ならばいっそ、このまま一人でも構わない。

――ずっと一人でも。

とさえ早紀は考えていた。
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