「さようなら。」は桜いろ
「キーホルダー。」
と呟いた。
早紀は

「キーホルダー?
」と絵美に聞き返すと

「うん、キーホルダー。なくしちゃったんなら、今から買いに行かない?今度は同じの着けようよ。」
とせがむように早紀に言った。
せっかく貰った物をなくした手前、断る事も出来ずに早紀は

「うん、そうしよ。商店街、もうあいてるし。」
と言うと絵美は、

「商店街?せっかくだから街まで行こうよ。高校生活を満喫しなきゃだよ!」
と意気高揚させ言った。
早紀は内心、

(何がせっかくなんだろう。街まで行く事が高校生活の満喫になるのかな。)

と疑問を抱いた。

その日は絵美とお揃いのキーホルダーを買い、近くのファーストフード店で食事も済ませ、早紀は帰宅した。

「ただいまー。」
と誰も居ないリビングに言い、自分の部屋へ入り、ベッドへ仰向けに横たわった。
ほんの少しのあいだ、外に出ていただけなのに、何だかどっと疲れた早紀ははぁ、と溜め息を着いた。

絵美とお揃いのキーホルダーを天井にかざし見つめ、早紀は鞄に着けた。
次こそは簡単に千切れないようにと、頑丈なストラップのキーホルダーを買った。

(明日から電車の中で鞄を上に持とう。)
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