「さようなら。」は桜いろ
すると母親は震える声でただ

「ごめんね、ごめんね。」
とだけ言う。

(やっぱり何かある。あったんだ。)

そう思った早紀は

「お父さんが、どうかしたの?」
と母親に問いかけた

「お父さんね、早紀のお父さんはもうお母さんの事が好きじゃないんだって…」
と早紀に言うと母親は床に崩れ、(ワァ)と子供の様に泣いた。

遠回しな母親の告白ではあったが、早紀ももう子供ではない、それだけ聞けば母親と、父親の間に何があったかは、容易に想像できた。

早紀は母親に言った。

「そんなのすぐになんて納得できないよ。お父さんが帰って来たら、3人でお話しようよ。ねぇ、お母さん!」

早紀は母親の両肩に手を掛けながら言った。
母親は(うん、うん)とだけ、頷いた。

またしばらく同じ時間が流れ、ようやく泣き終えた母親は

「ごめんね、ご飯作ろうね。」
と立ち上がった。
すると早紀は母親を腕で制しながら
「いいよお母さん、それより聞かせて。何があったのか。」

すると母親は

「そう、そうね。さっちゃんももう、子供じゃないもんね?」
と母親は無理に笑って見せ、リビングの椅子に腰掛けた。

「何から話せば良いかな…」
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