永遠の片想い
逃げてばかりでいつまでもシュンくんに向き合えない私は、きっと弱虫なんだと思う。


「まだ、忘れられない」


右手に光る指輪は変わらず愛しくて、会えない時間に気持ちばかりが増して行く。


「早く忘れろとは言わない」


そう言って、俯く私を覗き込むチカ。


「でも、絵里奈が幸せになれる道が目の前にあるなら、私はそっちを進めたいと思うよ」


"大事な人だから"と、チカは笑った。


「ありがとう」


これ以上口を開けば、泣いてしまいそうで。

私は揺れる瞳を隠すように、コップいっぱいのジュースを飲み干した。


人の気持ちなんて、簡単なようで難しい。

触れられないとわかったら、余計に触れたくなるものなのだ。
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