永遠の片想い
あの日、別々の道を選び、背を向けて歩き出したはずの私達が、今こうして同じ場所にいるなんて。


何だか不思議で仕方なかった。


だけど、こんな距離感が今の私達にはきっとちょうどよくて。

居心地がいい空間だったのかもしれない。


「本当に、地元離れんの?」


タバコをくわえながら、佳祐は私に問い掛ける。


「…うん」

「そっか」


気まずい空気に、思わず俯く。


「休みには、帰ってくるよ」


私の言葉に"本当かよ"と、佳祐は笑う。


「本当だし。じゃなきゃ私、寂しくきっと死んじゃう」


そう笑ってみせると、佳祐が口を開いた。


「あのさ…」


言いかけた言葉を遮るように、携帯の着信音が響く。
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