永遠の片想い
「絵里奈、どうした?」


部屋に戻ると、マリが心配そうに声をかけてきた。


「佳祐から電話かかってきた」


他のみんなには聞こえないようにそう言うと、マリは"よかったね"と笑う。


「ごめん、先に帰るね」


私の言葉に、シュンくんだけが顔を曇らせた。

気にしながらも店員に帰る事を伝え外に出た瞬間、右腕を掴まれた私は驚いて振り返る。


「絵里奈ちゃん」


"待って"と言って私を呼び止めたのは、シュンくんだった。


「シュンくん…どうした?」


戸惑いながら返事をすると、シュンくんは悲しそうな顔をする。


「佳祐に会いに行くの?」


そう言って眉を寄せる彼に、嘘をつく理由なんてなかった。
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