【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
ф Christmas Doll. ф
◆たぶん、夢じゃない
───シャンシャン
シャンシャン・・・・
シャンシャン
シャンシャン・・・・
誰もが寝静まった真夜中にその鈴の音が聞こえていたのは、きっとわたしだけ。
きっと、わたしだけ・・・・。
━━『1日だけ、キミを人間の体にしてさしあげよう』━━
ふわり。
アスファルトに降り立ったその人は、わたしに優しいほほ笑みをたたえたまま言った。
赤い服、赤い帽子、黒いブーツ。
白くて立派なひげに、淡いブルーの綺麗な瞳。
ソリにはパンパンに膨らんだ大きな袋が積んであって、それを引くのは2頭のトナカイだった。
白い息をほぅほぅと吐きながら、その人はもう一度言う。
━━『1日だけ、キミを人間の体にしてさしあげよう』━━
そして───パチン。
指を鳴らす。
───シャンシャン
シャンシャン・・・・
シャンシャン
シャンシャン・・・・
鈴の音が聖夜に優しく鳴り渡る。