【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
◇◇◇
「着きましたよ」
「・・・・」
───ガチャリ。
「散らかってますけど、どうぞ」
「は、はい・・・・」
こういう展開になること・・・・だったりする。
コンビニで肉まんとおでんを買って連れられるまま来た場所は、松田さんが住んでいるアパート。
「少しは体を温めないと」と言われて「はい」なんて返事をしたばっかりに、来てしまいました。
どこまでもお人好しな松田さんに付いてきたわたしは、こうして一晩泊めてもらうことに・・・・。
「どうかしました?」
靴を脱いで玄関に上がった松田さんは、なかなか入らないわたしを見て首をかしげる。
「あ、いえ。それじゃあ、お言葉に甘えて。お、おじゃまします」
「はい、どうぞ」
こんなに良くしてもらっていいのかな、ついさっき会ったばかりなのに・・・・。
しかもわたしはドールで、今日が終われば人間のわたしはいなくなるのに・・・・。
ニコニコ笑う松田さんとは対照的に、わたしの胸は申し訳なさでいっぱいになった。