【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
申し訳ない気持ちを抑え、恐る恐る部屋に入って腰を下ろすと、小さなテーブルの上にさっきのコンビニの袋が乗った。
わたしと向かい合うようにして座った松田さんは、さっそく中身を取り出す。
「さあ、冷めないうちに」
そして、肉まんの包みとカップのおでんをわたしに差し出した。
松田さんは自分用に買った肉まんを美味しそうにほおばる。
ホカホカと湯気が立って、いい匂いも広がって、わたしの食欲はまた復活した。
「いただきます」
“腹が減ってはなんとやら”って本当だったみたい。
一口食べるごとに心と体に元気がみなぎってくる。
“ドールに戻りたい”なんて思ったけど、今は“人間っていいな”と幸せを感じる。
「ごちそうさまでした!」
おでんのスープまできれいに飲み干したときには、わたしはもう満面の笑みだった。
ぷはーっと息をはくと、向かい合う松田さんはニコニコ笑う。
人間って、幸せ。
「お腹いっぱいになりました?」
「はい!ありがとうございます」
「いいえ」