【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
一体どれくらいの間、鈴の音が鳴り渡っていただろう。
音が夜空に消えたかと思った、その次の瞬間───。
「わっ・・・・!」
急に体が重くなって、前のめりに倒れこんで。
で。───ごちん。
「うぅっ」
わたしは、ショーウィンドウのガラスにおでこをぶつけていた。
でも、それは外側からではなく、どういうわけか内側からで。
叶うはずないと、心を持ったときから諦めていた“動く体”で。
「本物だったんだ・・・・」
おでこの痛みも忘れ、ガラスにへばりつくようにして、三日月と星が浮かぶ夜空を見上げていた。
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それが、この物語の始まり。
1日だけ人間の体を授けてもらった、名もないドールの物語。