【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
 
わたしは、自分で思っていたより欲深いのかもしれない。


最初は松田さんを見ているだけでよかったのに、人間になりたいと願うようになって。

そして、とうとう叶った今では、このままずっと人間のままでいたいと・・・・松田さんと一緒にいたいと願ってしまう。

間違っているよね、そんなの。




一緒に朝食の片付けをしているときに聞いてみた。


「人間ってなんて欲深いんだろうって、ときどき思いませんか?」

「・・・・はい?」

「あ、いえ。お腹が空いたり、眠るときは暖かいベッドがほしかったり・・・・。1つ願いが叶えば満足だったはずなのに、もっともっとってなっちゃいませんか?」

「そうですねぇ・・・・」


松田さんはお皿を洗う手を止めて真剣に考えだした。

シンクの中で、洗剤の小さな泡が控えめにパチンと弾ける。


「でも、逆に何も望まないなら、僕は人間じゃないと思います。欲というか、望みがあるから人間なんじゃないですかね?」

「そう、ですか・・・・」

「はい」


松田さんの答えが胸に痛かった。
 

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