【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
結局わたしは、ドールにも人間にもなりきれない中途半端な存在。
なんだか悲しくなってくる。
わたしは一体、何がしたいんだろう。・・・・分からない。
人間になって何がしたかった? ・・・・それも分からない。
自分の存在が無意味に思えて、このまま消えちゃいそうだ。
「ほら、手が止まってますよ?」
「・・・・へ? あ、すみません」
「今日は予定がいっぱいなんですから、お皿拭きでモタモタなんかしていられませんよ」
「はい」
間一髪、涙がこぼれる前に松田さんが声をかけてくれた。
松田さんを見ると、あのニコニコ顔ですすいだお皿をわたしに差し出していた。
「これで最後ね」
「はい」
松田さんの笑顔は、サンタさんのそれよりすごい魔法だと思った。
その笑顔に見つめられると“わたしはまだ存在してていいんだ”と思えるようになる。
もう、ドールのわたしでも人間のわたしでもどっちでもいいや、なんて思えるくらいで。
“わたし”は“わたし”・・・・。
今はそれだけで救われる。