【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
「西野さん、きっと犬みたいに大喜びだろうなぁ」
ぽつり。松田さんが言う。
松田さんも同じこと考えていたんだ・・・・言えないけど嬉しい。
「なに笑ってるんですか?」
「えっ? その、犬みたいって、本当にそうなのかなって思って」
「あぁ!そうですよ、本当に活発な女性なんです。体力だって、僕よりずっとあるんですよ」
危なかった・・・・。
わたしも犬みたいにはしゃぐ西野さんを想像してました、なんて口が裂けても言えない。
一晩でだいぶ嘘がうまくなった自分に、なんだか罪悪感。
「西野さんって、僕の同僚なんですよ。長いんですよね、あそこで働き始めてから6年くらいって言ってました」
「へぇ〜!」
わたしもそれは知らなかった。
そんなに長くいるんだ、へぇ〜。
「あ!西野さんの話なんてしている場合じゃなかった。とりあえず昨日通った道を戻ってショップまで行きましょう」
「・・・・あ、はい」
「きっとすぐに見つかりますよ」
“大丈夫”と頷いて、松田さんはまたニコニコ笑った。