【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
◇◇◇
それからしばらくして、ようやく泣き疲れてきた頃。
やっとわたしはまた歩きだした。
行く場所も、目的地もない。
でも、ここから離れなきゃ。
幸いなことに、座り込んでいた場所は屋根の下だったようで。
服が少し汚れただけで、泥水といった目立つ汚れは避けられた。
大事なショップの服を汚してしまうところだったと思うと、泣く場所も少しは考えないと・・・・なんて思う。
「とにかく行かなきゃ」
今はショップから・・・・もう帰ったと思うけど、松田さんから少しでも遠くに離れなきゃ。
最後の嘘をついたじゃない、歩いて帰れない距離じゃない、って。
でも───・・。
「どこに行けばいいのよ・・・・」
初めて歩く街はひどく窮屈で、怖くて怖くてたまらない。
確かにわたしはここにいるのに、誰もわたしのことが見えないかのように感じてしまう。
今日は25日、クリスマス。
クリスマスカラーの街並みにわたしだけ取り残されているみたいで虚しくなった。