【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
 
それからの時間の進み具合は、本当にゆっくりゆっくり、スローペースで過ぎていった。


まだ青い空を何度見上げたか、流れる雲をいくつ見送ったか・・・・。

分からない。


お腹が空きすぎると空腹感を感じなくなるっていうことを初めて知って、ちょっとおかしかった。

人間ってけっこう便利にできてるんだなぁ、って。

でもそれも、今さら知ったところでもう遅いけど・・・・。


わたしが座るベンチより少し離れたベンチでは、何組も人が入れ替わっていった。

中学生くらいの初々しいカップルや、高校生くらいの子たち。

その子たちより大人の親密そうなカップルもいれば、仲良く休憩する老夫婦の姿もあった。


「そっかぁ、今日はクリスマスだもんね・・・・」


やけにカップルばかりが目につくと思ったら、そう、クリスマス。

クリスマス。

クリスマス。

クリスマス・・・・。


「そっかぁ、今日はクリスマスだもんね・・・・」


もう1回同じ台詞をつぶやいて、またハァとため息。

その頃には、すっかり夜だった。
 

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