【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
「・・・・そろそろいいかな」
わたしは、長時間座っていたベンチからゆっくりと腰を上げた。
一応コートは着ているけれど、飲まず食わずで日中から夜まで。
もう、寒くて寒くて・・・・。
日が落ちてからしばらくは、意地で座っていたようなものだった。
きっと、サンタさんが来る時間にはまだ早いと思う。
でも、夜の公園はひっそりと静まり返って、どこか不気味で。
風が吹いて池の水面がざわつくだけで、木の枝がこすれる音がするだけで、寒さだけじゃない震えがブルブルくる。
「ううっ・・・・早く戻ろ」
そうしてわたしは、再びあのショップへと進路をとった。
公園を出ると、道ゆく人たちは昼間にも増してカップルばかり。
クリスマスの夜も一人きり、か。
なんて、寂しい気分にもなったけど・・・・でも、毎年そうだったんだから全然平気!
そう自分に言い聞かせて、できるだけカップルを視界に入れないようにして道を歩いた。
「はぁ、着いた!」
そして、振り出し地点のショップの前に到着した。