【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
ショップはもう閉店していて、店の中の電気は落ちていた。
ショーウインドーのほうにだけ、暗めの照明がつけられている。
わたしがいつも立っている真ん中の場所は・・・・もちろん空白。
「明日からまた戻るのかぁ・・・・」
そういえば、昨日はこうして外からは見なかったっけ。
そうそう、どこも行くところがなくて、そうしたら松田さんが火事と勘違いして来て。
そして・・・・。
「あの・・・・こんなところで何してるんですか?」
そうだ、こんなふうに声をかけられて、松田さんの部屋で肉まんとおでんをごちそうになって。
・・・・って、えっ?
「風邪引きますよ?」
「・・・・」
「メリークリスマス、名前も知らないお嬢さん」
・・・・嘘。
振り向かなくても分かる。
いつも聞いていた声だもん。
松田さん・・・・だ。
「絶対ここに戻ってくると思ってました。おかえりなさい。・・・・ずいぶん待ったんですよ?」