【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
そう言って、松田さんはまだ振り向けないわたしの前に立った。
そして、続けて言う。
「なくしたバッグ、あれからいろいろ探したんですけど、とうとう見つからなくて」
「・・・・」
「絶対に僕が見つける、なんて大見得切って言ったんですが・・・・。本当、すみませんでした」
「・・・・」
どうしちゃったんだろう。
わたし、まだドールに戻づてないのに声が出ないよ・・・・。
何か話さなきゃ。
そう思うけど、どうしても無理。
「あの・・・・。その代わりといってはあれなんですが、これ・・・・」
え?
申し訳なさそうな笑顔を浮かべて松田さんが差し出したのは・・・・。
「僕からのプレゼントです。うちのショップの服、あなたは好きだって言ってくれましたよね。だから、きっとバッグもうちのショップだと思って」
一目見たときから“素敵だな”と思っていた、淡いピンク色をしたバッグだった。
松田さんは、わたしの手を取りバッグを握らせる。
いつからそこにいたのか、触れた手はすごく冷たかった。