【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
そこでふっとショーウインドーから背中を離した松田さん。
ゆっくりと後ろを振り返り、納得の表情を浮かべながらまた話しはじめる。
「そうですよね。今日はドール、ここに立っていませんもんね。あなたはドール、なんでしょう?」
そう問うと、わたしに視線をずらし、ニコニコと笑った。
どうして・・・・?
どうしてわたしが自分のことをそう呼んでいるって知ってるの?
「薄々分かってはいたんです。ここは平和な街で、放火でもしない限り火事は起きません。というか、あの明るさは火事ものではありませんでした」
どうして・・・・?
分かっていたならどうしてわたしを一晩泊めて、バッグまで探そうとしてくれたの?
「それにあなた、いつもここに立っているドールの顔によく似ています。なんとなく・・・・何かを訴えかけるようなその目も」
嘘。
嘘だよ、そんなの。
なんで? どうして?
じゃあ、松田さんはわたしがドールだって気づいていながらいろいろ優しくしてくれたっていうの?
そんなの信じられない・・・・。