【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
そう言って、松田さんは小さく首をかしげる。
わたしはフルフルと首を振り、また夜空を見上げた。
松田さんはわたしが自分のことを“ドール”って呼んでいるのを知っているんじゃなかったんだ。
自分でそう決めて、呼んでくれていたんだ・・・・。
嬉しい。
嬉しいよ、松田さん。
わたし、ドールに生まれてきて本当によかった。幸せです・・・・。
「どうしたんです、教えてくださいよ、ドールさん」
「ふふっ。教えません」
「なんでですか」
「なんでもです」
納得がいかないといったふうに、ちょっと唇を尖らせる松田さん。
ごめんなさい、松田さん。
わたし、このことは松田さんにも秘密にしておきたいんだ。
いつか、わたしが自分の仕事を終えてショップを後にするそのときまで、わたしだけの秘密にさせてほしいんだ。
「もういいですよ。ドールさんって意地悪ですね」
そう言って松田さんがそっぽを向いている間に、素早くカードにメッセージを書き込む。
いつかね。
いつか、見てください。