【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
ここに来る前、サンタの格好をした女の子がキャンペーンか何かで配っていたメッセージカード。
それを、松田さんがプレゼントしてくれたバッグの中に入れた。
すると、それを合図にしたかのように大きくなる鈴の音。
・・・・とうとう本物のサンタさんがわたしたちの前に舞い降りた。
昨夜見たのと全く同じ。
赤い服、赤い帽子、黒いブーツ。
白くて立派なひげに、淡いブルーの綺麗な瞳。
ソリにはパンパンに膨らんだ大きな袋が積んであって、それを引くのは2頭のトナカイ。
「・・・・」
松田さんは、声も出せないくらいに驚いている様子。
本物のサンタさんが、まさかあらゆるところで目にする“あの”サンタさんだなんて思わないよね。
サンタさんは、あの優しい微笑みを松田さんに向け、それからゆっくりとわたしに移した。
わたしはこくりと頷く。
いよいよ・・・・なんだ。
これで本当に最後。
ありがとう、松田さん。
ありがとう、サンタさん。
わたし、幸せでした───・・。