【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
きゅっと目をつぶると、ふわり。
わたしの体は、松田さんによって優しく包まれた。
松田さんのいい匂いがする・・・・。
「さよなら、ドールさん。・・・・僕はあなたのことをいつまでも忘れませんから」
「ありがとう・・・・ございます」
短い会話を交わし、きつく抱きあったまま、魔法が解けるのを待つ松田さんとわたし。
もう思い残すことはないよ。
わたしはわたしの意志で言葉を発し、動き、体の全部で松田さんを感じることができたんだから。
わたしも、ドールに戻っても絶対にクリスマスの奇跡は忘れない。
“もう一度人間になりたい”なんて思ったりもしない。
たった1回、この奇跡だけで、わたしは最高に幸せだから・・・・。
「わたしのことを見つけてくれてありがとう、松田さん」
「僕のほうこそ、ありがとう」
「「さよなら・・・・」」
━━『ほっほっほっ。メリークリスマスじゃ』━━
サンタさんがそう言って・・・・。
そしてまた───パチン。
指を鳴らした。