【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
そうして、ものの15分で完売となった“松田ブランド”の50着。
最後のお客さんに握手を求められたときにまで、松田さんはまだまだ目をぱちくりさせていて。
もうだいぶ遅いけど、今さらながら、自分の人気にようやく気がついたみたいだった。
「15分なんて、有名アーティストのコンサートみたいですよ!」
「もう、めまいを起こしそうなくらい忙しかったんだから〜!」
「こんなに有名になっちゃって、松田君。店長の私の目に狂いはなかったようだわね!」
お客さんがいなくなり、静かになった店内では、大沢さんやスタッフ、店長が次々と松田さんに称賛の言葉をかける。
そこでやっと我に返った松田さんは、すっからかんになったワゴンを見ながらほぅ・・・・とため息。
それから、一言一言を噛みしめるようにゆっくりと話しだした。
「店長、大沢さん、スタッフの皆さん。僕のわがままで服を作らせてもらったばかりでなく、取材や限定販売までして頂いて、本当にありがとうございました」
パチパチパチ・・・・!!!!
全員から拍手が湧き起こる。