【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
「僕はいつも自分のために服を作っていました。でも、どうしても僕が作った服を着てもらいたい人がいたんです」
拍手が止むと、松田さんはそう言葉を続けた。
そしてさらに・・・・。
「不思議な出来事でした。去年のちょうど今日、その人と出会って、誰かのために服を作る幸せを教えてもらったんです」
そう言って、松田さんとドールのわたしの間に起こったクリスマスの奇跡を語りはじめた。
松田さんと2人きりの秘密だと思っていたわたしは、話が始まるとすごく悲しい気持ちに・・・・。
もちろんしゃべれないれど、少しくらい相談してくれてもよかったんじゃないかな、って思って。
でも、その気持ちはすぐに取り払われ、代わりに温かい気持ちがじんわりと心にしみ込んでいった。
だって───・・。
「あなたのおかげだったのね。本当にありがとう」
「ありがとう、ドール」
「だから『クリスマス∞ドール』だったんですね・・・・。この子が松田さんの力の源なんですね」
みんながわたしに声をかけてくれて、ぎゅっと抱きしめてくれて。