【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
それはまるで、もう1回“人間”になったような気分だった。
涙が出るものなら、声を出せるものなら、笑えるものなら・・・・。
わたしこそ“ありがとう”だよ。
わたしを奪い合うようにして抱きしめ合戦をするみんな。
その輪から少し離れて、ニコニコ笑いながら見ている松田さん。
一瞬、目が合った気がした。
「あ!ねぇねぇ、松田君!」
店長が呼ぶ。
その手には、バッグをなくしたと嘘をついたわたしにプレゼントしてくれたピンクのバッグ。
「はい?」
「そういえば、このバッグだけ店の商品だったものだよねぇ」
「ええ、そうですけど・・・・」
ん? という顔をする松田さん。
でも店長は、何かを閃いた顔をしてある提案をした。
「私たちからのクリスマスプレゼントってことで、みんなでメッセージカード書かない?」
続けて。
「松田君の夢も叶えてもらって、お店も繁盛させてもらってるし。感謝の気持ちを込めてさ!」
そう言うと全員が“うんうん”と頷き、松田さんも頷いた。