【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
◇◇◇
やがて。
「お疲れ、ドール」
「また明日ね〜」
「ドール、お先にね!」
閉店時間になり、スタッフたちはわたしに一言声をかけてからそれぞれの家路についていった。
「それじゃあ、戸締まりだけよろしくね、松田君!お先に!」
そして、店長も。
もう1回取材がある松田さんは、スタッフルームで大沢さんが来るのを待つんだって。
すっかり照明が落ちた薄暗い店内には、松田さんとわたしだけ。
しーんと静まり返っている。
少しするとカツ、カツと靴の音が響いてきて、その音はわたしの後ろで止んだ。
「・・・・ドール」
そう呼ぶのは松田さんの声。
やっぱりわたしは、松田さんに呼んでもらうのが一番心地いい。
「ドールのこと、みんなに話しちゃいました。怒っていますか? それとも・・・・喜んでくれていますか? 僕ね、この店もみんなも大好きなんです。だから、ドールのこともちゃんと知ってもらいたかったんです」
───うん・・・・。ありがとう、松田さん。嬉しい。