【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
◆きっと、夢じゃない
「よいしょ、っと」
とりあえずは自分の足で街を歩いてみたくて、店の外に出た。
とたん、ぴゅ〜と冷たい風が吹いて、今までの好奇心がしぼむ。
・・・・これからどうしよう。
お金なんてもちろんないし、行くところもない。
いくら松田さんが好きでも住所までは知らないし・・・・って、知っていたとしても見ず知らずの人がいきなり来たら迷惑で。
それに、時計は見なかったけど、きっと深夜。
街も寝ているみたいに静かで、そんな中で起きている人なんてわたしくらいしかいない。
「はぁ、どうしよう・・・・」
体の芯からガタガタ震えだして、息を吹きかけた手がかじかんで。
今まで感じたことのなかった“空腹感”もだんだん襲ってきて。
心細くてたまらない。
「サンタさんのバカ・・・・。ちょっとくらい時間帯ってのを考えてくれたってよかったじゃん」
最後には涙と鼻水が一緒に出てきてしまって、人間になったことを後悔しはじめていた。
ドールに戻りたい、そう思った。
そんなとき───・・。