【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。
「わ、わたし?」
「ええ。こんな寒い日の深夜に1人でいるなんて」
「・・・・」
どうしよう、うまい言い訳の1つも考えていなかった。
わたしはショップのドールで、サンタさんに人間にしてもらったんです───なんて言えない。
どうしたら・・・・。
「あ!」
「えっ!?」
すると、松田さんは急に納得したような顔でわたしを見た。
ジャケットのポケットに突っ込んでいた両手を出してポンと叩く。
「分かりました。あなた、バッグを持っていませんよね。どこかでなくして、帰れなくなってしまった。・・・・違います?」
「・・・・は、はい」
嘘、ついちゃった。
生まれて初めてついた嘘は松田さんに、か・・・・ご、ごめんなさい。
「やっぱり!あっ!!」
「はいっ!?」
今度は驚いた声を出す松田さん。
もしかして、もうばれた?
「その服、うちの店の服じゃないですか!好きなんですか?」
「はい・・・・」
なんだ、服か。
心臓が止まるかと思った。