野球少年と彼女と私
「哲平のじゃないもん、」


折角持ってきた漫画を変な漫画呼ばわりされ
ちょっと恥ずかしくなった私は顔を伏せた。

「…サンキューな。」


「…っえ?」

…あ、え?
今…今…向井コウキ先輩が

サンキュー
って言った?!

「おー?プライド高いコウキが礼言うなんて珍しいな!」

「プライド高くねーし、普通に礼くらい言うわ阿保」

「可愛いくねーな!コノヤロ!」

嬉しい…嬉しい!

……って感動してる場合じゃなーい!
私はお見舞いに来たんだっちゅーに!

「あのっ… お体は如何ですか?」

「コウキは頑丈だかんな!平気っしょ」

−−…だから…、哲平がいちいち口挟むなっつーに!哲平に聞いてないし!

「お前は黙ってろ。」
向井コウキ先輩…本当に本当に無事でよかった。
(無事じゃないけど)
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