ピンキーリング
「やっぱでかいなー」

「当たり前じゃん!」

「母ちゃんのタンス、あされないっしょ?」

「元カノのとかは?」

「・・・入れたことねーから」

「・・・意外と純情なんだね!」

「・・・・・・」


多喜は何も言わずに、テレビをプロ野球のチャンネルに変えた


「おっ負けてんじゃん!」


多喜の座るソファーに寄りかかって、買って来たジュースを飲んだ



「パンツ濡れた!」

「ん・・・」

「気持ち悪いの!」

「ん・・・」

「もー知らない!」


雑誌を見る
それを覗いてくる多喜

「見ないでよ!」

「誰のお財布から買ったんですか?」

「セクハラ!」

「見てみたかったんだよなー」


勝手にページをめくる多喜


「まだ見てないのー!」
「何かさーエロい姉ちゃん載ってねーの?」
「うるさぁい!」



気づけばあたしの隣で一緒に雑誌を見てる多喜




あたしが好きだって言ったら、こんな風に隣に居れないのかな?


絶対こらしめてやるって思ってたのに、今は


多喜の全部が愛おしかった
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