ピンキーリング

下を向いて呟く多喜


「全然大丈夫!会えないわけじゃないし!」

「うん」

「元気出してー?」

「うん。沙耶菜居るから頑張れる」




もうあたしの家に着いちゃった・・・




「ありが・・・」

ありがとうって、言おうとしたら抱き寄せられた


「寂しくねーの?」

「・・・・」

「俺、夏休み入って沙耶菜に会えないだけでも、すっげー寂しかった」



ねぇ多喜・・・

あたしすっごく我が儘だよ?

あたしすっごく寂しがり屋だよ?

すぐいじけるよ?

すぐ泣くよ?

面倒くさい女だよ?

そんな沙耶菜でも・・・

多喜は一緒に居てくれるの?




「寂しいの・・・我慢するもん」




多喜とだけは離れたくない
違う場所に居ても
心だけは同じ場所にあってほしいから




「沙耶菜?」

呼ばれて顔をあげると多喜は、あたしの唇に触れるだけの長いキスをくれた


十分伝わってきたよ・・・多喜の気持ち
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