gloom of the prince〜恋する研究室〜
やっと全員の実験が終わり、俺とシゲは実験室の後片づけを始める。


「シゲ、ごめんな。何か、色々させちゃって。」

「いえ、そんなことないですよ。」

「俺、全然教えてなかった気がする。開始時間に遅刻したし。」

「いいですよ。」


この研究室に配属が決まった時、俺は失敗したと思った。

こいつとだけは、絶対にうまくいかない。

その、こいつってのが、シゲ。

シゲはハッキリ言って野暮ったい。

だが、干渉してこないから、俺たちはそこそこ上手くやっている。

ものすごく仲が良いってわけじゃないけど。


「川崎くんは、実験が終わった後の確認をしてくれてましたから。」

「ほとんど、雑談だったけど。」

「そうですか?楽しそうでしたけど、3年生は。」

「そうか?」


しかも、俺がまともに雑談したのって、あの不機嫌ガールだけだよな。

他の子たちなんて、帰っていいよ、って言ったら、すぐ帰ったし。


「はい。楽しそうでしたよ、川崎くんも。」

「そんなことないって。何話そうか、いっぱいいっぱいだったよ。」


見てないようで、シゲは周りをよく見ていた。
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