gloom of the prince〜恋する研究室〜
最近の俺の日課。

昼休みになると、窓から外を眺める。

しばらくすると……、あっ、来た来た。

実験中に不機嫌だったあの子。

たぶん、食堂に向かってるんだと思うが、いつも同じ時間にここを通る。

4階の俺の実験室からでも、彼女の機嫌がわかる。

今日は……不機嫌。

やたらと身ぶり手ぶりがデカイ。

隣にいる友達がなだめているのが見える。

と言っても、その友達も感情表現が激しいんだけど。


「川崎さん、何見てるんですか?」


と、話しかけてきたのは4年生の南さん。

南さんは川崎さんに気があるんですよ、そんなことを橘くんが言っていたな。

俺だって、薄々気づいてたけど。


「空。」

「面白いですか?最近、いつも窓の外見てる。」

「まあね。二度と同じ雲は流れてこないからね。」


言うんじゃなかった。

俺は今、激しく後悔している。

うっとりした目で南さんが俺を見つめている。


「川崎さんって、意外とロマンチストなんですね。」


やめてくれ、そんなことないから。

変なヤツを観察してるなんて、言えるわけないだろ。
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