gloom of the prince〜恋する研究室〜
俺が昼食を終えて廊下を歩いていると、向こうから女の子が2人歩いてくる。

見間違うはずがない、最近は毎日見てるんだから。

あの不機嫌ガールとその友達。

このまま俺が進んだら、確実にぶつかるな。

だってあいつ、下ばっかり向いて全然前見てない。

わざとぶつかってみるか?


「若菜っ!」


友達が声を上げたときは、あいつは俺にぶつかっていた。

若菜か……、覚えておこう。


「ごめんなさい!」


おっ?いつもにも増して不機嫌だね、今日は。


「あっ!」


友達が俺の顔を見つめる。

気づいちゃった?


「大丈夫?」


俺は思わず笑みをこぼした。

観察対象が自分からぶつかってきてくれるなんてな。
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