gloom of the prince〜恋する研究室〜
観察対象と直接会ったからと言って、俺の探究心は満たされない。

むしろ、あの日からさらにわからなくなった。

何とか若菜。

まだ名字はわからない。

にしても、本当に変なヤツだ。

好きって何?

んなこと、わかるかっ!

そんなことを思いながら研究室に帰ってくると、なぜか研究室の前にあいつがいた。


「何してんの?」


俺の言葉に、イラッとしたようだ。


「レポート出しに来たんですけど!」


睨むような目つきで振り返ったが、俺の顔を見て目を見開いた。


「また、機嫌悪いの?」

「いや……そんなことない、デス。」


そんなことあるだろ、と思ったけど言わない。


「そ?先生、いないんだ?」


今日は……、午後から学会じゃなかったか?


「そうですね。さっき、先輩が探しにいってくれたんですけど。」

「誰?シゲか?アイツじゃダメだな。」


多分もう、大学の中にいないだろうし。
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